給与明細は、支払われる給与額だけでなく、控除や手当などの詳細も記載されています。知っているようで知らないことは多いので確認しておくと良いでしょう!
給与明細とは何?
給与明細は、支払われた給与の根拠となる勤怠情報や給与の支払い額、控除額など詳しい内訳が記載されている書類を言います。
明細に表示される項目一覧
基本給
契約に基づいて毎月支払われる固定の給料です。ですが、手当やインセンティブを含めない金額となります。
基本給ってどうやって決められるの?
- 最低賃金法
- 労働基準法
- 労働協約、就業規則
- 労働市場状況
- 年齢、学歴、勤務年数、能力、資格、業績
※基本給が最低賃金を下回っていると違法です!
残業手当
法定労働時間を超えて働いた時間に対する手当です。つまり、割増賃金が適用されます。増加率は通常25%〜50%の増加率が適用されます。
残業手当の計算方法
1時間あたりの基準賃金(通常の時給)を計算します。
月給制の人の計算方法
基準賃金=基本給 ÷ 月の所定労働時間
例)基本給が30万円の場合、所定労働時間 1日8時間×20日所定労働日数の場合
基準賃金 = 300,000円 ÷ 160時間 = 1,875円
割増率は・・・
法定労働時間を超えた残業(通常残業):25%
午後10時から午前5時までの残業時間(深夜残業):25%
法定休日に働いた場合(休日労働):35%
残業手当 = 基準賃金 × 割増率
例)基準賃金が1,875円の人の場合 通常残業を2時間した場合
通常残業手当 = 1,875円 × 1.25 × 2時間 = 4,687.5円
通勤手当
通勤にかかる交通費が会社から支給される場合に記載されます。上限額が設定されていることが多いです。
- 公共交通を利用した通勤の場合
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通勤定期代の実費が支払われるケースが多いですが、月の上限を設けている会社が多くあるようです。
- 自家用車
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自宅から会社までの距離により支給額の変動があるようです。こちらも、月の上限を設けていることが多いです。
- 駐車場
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駐車場代を負担してくれる会社もありますが、逆に社員負担の会社もあるので入社前に確認が必要です。
税法上の優遇
公共交通機関利用の場合は、月15万円までが非課税
自家用車などの通勤手当の場合は距離によってかわります。
通勤距離(片道) | 非課税限度額(月額) |
2km ~ 10km未満 | 4,200円 |
10km ~ 15km未満 | 7,100円 |
15km ~ 25km未満 | 12,900円 |
25km ~ 35km未満 | 18,700円 |
35km ~ 45km未満 | 24,400円 |
45km以上 | 31,600円 |
役職手当
管理職や特定の役職に対して支払われる手当です。そのため、役職の責任や業務内容に応じて支給されます。
役職手当の法的効力
役職手当は法的に定められたものではありません。よって、その金額や適用範囲については企業ごとに大きな違いがあるのが現状です。
そして、労働基準法に基づき、賃金や手当の支給条件については労働契約や就業規則で明確に定める必要があります。
家族手当
配偶者や扶養している子供がいる場合に支給される手当です。ですが、家族手当は法的な義務ではなく、企業の裁量により支給されるため、すべての企業が導入しているわけではありません。
家族手当の対象
- 配偶者
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多くの企業では、扶養している配偶者に対して手当が支給されます。配偶者が一定の収入以下(たとえば年間103万円以下など)である場合が条件です。
- 子ども
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子どもを扶養している場合に手当が支給されることが多いです。支給対象は一般的に18歳までですが、子どもが大学に通っている場合や障害がある場合は、年齢制限が緩和されることがあります。
- 親やその他の親族
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場合によっては、扶養している親や兄弟姉妹も手当の対象になることがあります。
家族手当支給額の目安
支給額は企業によって異なります。以下の金額はだいたいの目安となります。
- 配偶者に対する手当:月額1万円~2万円程度
- 子どもに対する手当:1人あたり月額5,000円~1万円程度
- 親やその他の親族に対する手当:月額5,000円~1万円程度(支給される場合)
家族手当の目的
家族手当は、従業員が家族を扶養する負担を軽減するための福利厚生の一環です。
変化と傾向
最近では、共働き家庭が増えていることや、ジェンダー平等の観点から配偶者手当の見直しが進んでいる企業もあります。また、配偶者の収入制限を撤廃し、子ども手当に重点を置くような傾向も見られます。
住宅手当
社宅や賃貸住宅に住んでいる従業員に対して支払われる手当です。会社によって支給条件が異なることがあります。
皆勤手当
無遅刻無欠勤の月に支払われる手当です。会社によって支給の有無や金額が異なります。
健康保険料
健康保険に加入している従業員から徴収される保険料です。給与の一部が天引きされ、会社も半額を負担します。
厚生年金保険料
将来の年金に備え、国に支払われる保険料です。会社と従業員がそれぞれ半分ずつ負担します。
雇用保険料
失業した際の失業手当などに充てられる保険料です。給与の一部が天引きされます。
所得税
従業員の年間収入に基づいて計算される国税で、給与から源泉徴収されます。年末調整や確定申告で精算されます。
住民税
居住している自治体に支払う税金です。前年の所得に基づいて計算され、翌年の6月から翌年5月まで給与から天引きされます。
退職金引当金
退職金を将来支給するために積み立てる資金です。退職時に一括で支払われることが一般的です。
交通費(非課税)
通勤手当が一定額を超えない場合、非課税扱いになることがあります。給与明細には非課税部分として記載されることがあります。
賞与(ボーナス)
年に数回支払われる特別な給与です。給与明細とは別途、賞与明細に記載されることもありますが、同じ明細に含まれる場合もあります。
所得税調整(年末調整)
年末に、年間の所得税の過不足を調整するために行われる計算結果が表示されます。過不足があれば差額が清算されます。
社内預金
会社が従業員のために行う貯蓄制度です。希望者が給与の一部を積立てることができ、給与明細にその額が表示されます。
まとめ
給与明細はこれらの項目を含み、各種手当や控除の内容が詳しく記載されています。企業によっては、他にも特別手当や奨励金、福利厚生費などの項目が追加されることがあります。