年金を受給する際に、条件次第でさらに増額される『加給年金』をご存じですか?実は、対象者なら申請しないともらえない可能性も…
この記事では、加給年金についてわかりやすく解説します。
加給年金とは何か?
厚生年金の被保険者が65歳に達した際、配偶者や子どもなどを扶養している場合に、老齢厚生年金に追加するかたちで支給される年金です。
目的
- 扶養家族を持つ年金受給者の生活を支えるため
- 扶養者への補助的なサポート
- 年金制度の公平性の確保
基礎年金との違い
項目 | 加給年金 | 基礎年金(国民年金) |
---|
目的 | 扶養家族がいる厚生年金受給者への追加支援 | 日本国内に住むすべての人に老後の生活保障を提供 |
制度の種類 | 老齢厚生年金の加算部分 | 公的年金制度の基本部分 |
対象者 | 厚生年金を受給する人(20年以上加入)+ 65歳未満の配偶者 or 18歳未満の子どもがいる場合 | 日本国内に住む20歳以上60歳未満の人が加入し、原則として10年以上納付した人が受給可能 |
支給条件 | 配偶者や子どもが一定の年齢・収入条件を満たす | 納付期間が10年以上あれば受給可能 |
支給額(2024年度) | – 配偶者:約224,900円/年 – 子ども(1,2人目):約224,900円/年 – 子ども(3人目以降):約74,900円/年 | 満額で約80.8万円/年(約67,000円/月) |
申請の必要性 | 必要(自動では支給されない) | 原則、必要(受給開始時に申請) |
支給停止・減額 | – 配偶者が65歳になり「振替加算」に移行すると支給終了 – 配偶者の収入が増えると支給停止の可能性あり | – 納付期間が短いと減額される – 繰り上げ・繰り下げ受給で支給額が変動 |
上記の表のように、基礎年金は、日本に住むすべての人が加入する基本的な年金部分に対し、加給年金は、扶養家族がいる人で、厚生年金受給者に対して追加支援される年金になります。
加給年金のメリット
年金額が増える
扶養家族がいる人にとっては、基本的な年金に上乗せされる年金なので、大変メリットがあります。
需給要件が見易い
- 年受給者(本人)の条件
-
- 厚生年金に原則20年以上加入している
- 老齢厚生年金を受給している
- 扶養する家族の条件
-
- 配偶者:65歳未満・一定の収入以下
- 子ども:18歳年度末まで(障害1級・2級なら20歳未満)
申請すれば確実に受給できる
加給年金は自動的に支給されるわけではなく、申請が必要です。ただし、条件を満たしている場合、適切に申請すれば確実に受給できます。
老後の家計に余裕が生まれる
📌 例えば…
- 夫婦2人暮らしで加給年金を受給
→ 年間224,900円の追加支給で、月々約18,700円の補助に!
加給年金のデメリット
申請しないともらえない
老齢厚生年金と一緒に自動的に受け取れるわけではなく、必ず申請しなければ支給されません。
申請に必要な書類
- 戸籍謄本
- 配偶者の所得証明
- 年金請求書
配偶者が65歳になると支給がなくなる
加給年金は「扶養する配偶者や子どもがいる場合に加算される年金」ですが、配偶者が65歳になると加給年金の支給が終了します。
配偶者分の加給年金支給が終了したときの対策
- 振替加算へ移行
-
振替加算とは、加給年金を受けていた配偶者が65歳になると加給年金が終了する代わりに、配偶者自身の老れ基礎年金に加算される制度です。
加給年金の対象者と条件
- 厚生年金保険の被保険者期間が20年以上
- 65歳到達時点で扶養する配偶者や子供がいる
- 届出をした人
支給額の目安と計算方法
加給年金の支給額は、毎年改定されるので目安を掲載します。
配偶者がいる場合の金額例
390,800円/年額
32,566円/月額
配偶者と子どもがいる場合の加算例
条件に当てはまる配偶者と子供の人数によって加給額が変わります。
対象 | 年額(2024年度) | 料金 |
---|---|---|
配偶者(1人) | 390,800円 | 32,566円 |
第1子 | 224,700円 | 18,725円 |
第2子 | 224,700円 | 18,725円 |
第3子以降 | 74,900円(1人あたり) | 6,241円 |
加給年金の申請方法
申請の流れ
戸籍謄本・収入証明
※書類は提出日の6ヵ月以内のものを利用すること
通常3~6ヵ月程度かかる
申請時の注意点
申請しないともらえないので、早めに手続きしよう!
加給年金をもらう際の注意点
併用できない年金や条件
- 配偶者が65歳以上になっている
- 配偶者が厚生年金に20年以上加入している
- 配偶者の月額定額以上ある(年収が850万円未満、所得が655.5万円未満)
- 配偶者が公的年金を獲得している
- 権利者本人が老齢厚生年金を受け取っていない
- 離婚している
支給停止や減額になるケース
- 配偶者が65歳になったとき
- 夫婦が離婚する
- 配偶者が障害厚生年金(1級・2級)を獲得したとき
よくある質問
まとめ
加給年金は、配偶者や子どもがいる場合に年金額を増額できる大切な制度です。この記事では、加給年金の対象者や条件、支給額の目安、申請方法について詳しく解説しました。
まずは年金事務所に確認して、自分が対象かチェックしてみましょう!